【News114】スイスの高校生の最終学年課題のインタビュー 24歳の脱北青年が答える

 スイスの17歳の高校生は最終学年に、課題として25ページの論文を書くことになっているようで

す。インタビューを希望したのはEric Soubeyroux(エリック・スウベィルー)君。

 インタビューのテーマは「北朝鮮の現実と革命」で、17のインタビュー項目がありました。イン

タビューを受けたのは2017年に脱北、日本に定住、今年、都立工業高校に入学した24歳の青年です

。回答は5月26日に届きました 。 (編集部)

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― 17のインタビューの質問項目 ―

Q-① あなたが誰(名前、年齢、職業他)であるか、簡単に自己紹介してください。

A:私の名前は 金秀賢(Kim Su‐hyong)で現在24歳。ロシアのシベリアと中国に 国境を接する咸鏡北道(North Hamgyon Prov)出身です。今年4月から工業高等学校の1年生に登録しました。今はCOVID-19の感染のために授業は始まっていません。

 

Q-② 何年に北朝鮮を脱出しましたか?

A:2017年8月、国境の川豆満江(Tumen River)を渡り中国に脱出し、東南アジアのタイ国を目指しました。

 

Q-③ どのようにして北朝鮮を脱出しましたか?

A:まず自分が住んでいた咸鏡北道の日本海側の都市から電車に乗り、中国との国境近くの駅まで3時間かけてたどり着きました。そこから1日中歩いて国境の豆満江の岸にたどり着きました。

その時私の両足の親指と小指と足底に豆ができて水膨れになりました。そこで休憩し、日暮れを待っていました。安全を確認するために近くの山の中で静かにしていました。午後8時半に行動を開始しました。そしいて2時間かけて40メートルの川幅を渡り中国側にたどり着きました。

 

Q-④ 何故決意に至った?決定的な瞬間は?

A:母が日本にいるということが2013年に分かったのですぐにも国境を渡りたかった。一人では怖くて決心がつかなかった。私が6歳の時、両親が離婚して母親とは生き別れでしたのでどうしても会いに行きたかった。十分に準備のために4年をかけました。2017年の恐ろしい、そして険しい道を一緒に歩いてくれる親友がいたのが、決心の決定的な瞬間だったと思います。

 

Q-⑤ 北朝鮮での貴方の立場はどうでしたか?(エリート或いは農民)そこでのあなたの職業は何でしたか?

A:私の仕事は市場で、都市間を旅行する時に携帯する「海苔巻き」や「てんぷらを載せたごはん」の軽食を販売する販売員の補助員として働いていました。

 

Q-⑥ 北朝鮮での最大の問題は何だと思いますか?食料ですか?不正行為ですか?

A:北朝鮮では仕事をして給与をもらうシステムではなく、6か月ごとに1回食料が配給される制度です。1級、2級の大きな工場や軍部隊には十分な食糧配給がありますが、それ以外はあまりにも少ないので苦労があります。最大の問題は、賄賂によって食糧配給の量や質が異なることです。

それは教育の問題がもっと深刻です。言葉では、12年間無料教育ですが、幼稚園から高等学校卒業するまでものすごく金がかかります。先生に賄賂を渡す人は良く面倒を見てもらえますが、賄賂を渡さない人は気にかけてもらえないです。

お金のない人は学校にも通えないのです。大学は成績が良い、頭がよい人は大学に入学できますが、お金が続かなくて途中でやめる人が多いです。奨学金の制度がないので、賄賂を出して卒業資格を買う。大学に名前だけの在籍をして卒業証書を買うのです。

北朝鮮では、党員証、軍隊の除籍証明書、卒業証書があれば安定的に暮らせると信じていますから皆がこれらの証明書を手に入れたいと願います。賄賂は無くてはならないものです。

 

Q-⑦ 今日の北朝鮮における食料問題はどの程度ですか?

A:食糧問題では地方の田舎の人が厳しい。私が聞いているのは一日一食がやっと食べられるほどと聞いています。特に1月から5月末までは収穫がないのでジャガイモの収穫ではとりわけ厳しい期間です。都市部では1日2食は通常確保できていると思います。私は都市部の人でしたので最低でも2度は食べていました。しかし食事の質は平均的なものはなく各家庭で大きな差があると思います。トウモロコシが主食です。労働党の幹部、軍隊の将校、政府の上級職員が食料に困窮しているという話は聞いたことがありません。

 

 

Q-⑧ 北朝鮮の体制についてどう思いますか?指導者達については?

A:体制に疑問を持っている人はいると思うが、それを口に出すことはできない。口に出せばそれは政府や労働党にたいしては不満を持っているとみなされ、反乱分子とみなされる。保衛部(秘密警察)が12時間以内にやってきて一家が消滅する。隣近所、職場仲間、学友仲間に秘密警察に密告する役目を持った人がいて密告する制度になっている。誰がその役目になっているかは秘密。誰もが監視され、密告される対象であるので面従腹背が生きるための常識です。

 

Q-⑨ 体制は尚、存続すると考えますか?

A:存続すると思います。

 

Q-⑩ 北朝鮮にいた当時、外の世界について何を知っていましたか?何を教えられていましたか?

A:北朝鮮では外の世界を知っている人は一部の人です。政府、党の高級幹部だけです。ほとんどの人が知らないと思います。一言で言うなら「ただの井戸の中の蛙」です。外のことは知らない。

 

Q-⑪ 北朝鮮の人々は、政府の宣伝を信じていますか?貴方の意見では、政府の宣伝はどの程度効果がありますか?

A:政府の宣伝はある程度は信じていると思います。ほかの情報を知らないので比べられない。ですから、宣伝効果は非常にあると思います。

 

Q-⑫ 人々は政府を信じていますか?人々は尚、政府や指導者を支持していますか?

A:???? 信じていなくても信じていないと口に出せば、その人の人生はそこで終わってしまう。支持していないと言えば、そこで生命の終わりに繋がると分かっているので口に出すことはない。

 

Q-⑬ 学校での政府の宣伝はどのように過激なものですか?そこでの教育はどのようなもので

すか?何を教えられましたか?

A:??????

 

Q-⑭ 人々の中の感じ方はどんなものですか?彼等は幸せですか?

A:状況においてもそれが幸せだと思えば幸せですね。ですが、日本に定住した今の自分に言えるのは「北朝鮮の皆が不幸な生活をしています」

 

Q-⑮ 政府について、人々の中に或る種の怒りの感情はありますか?

A:最高指導者に対してだはなく、その取り巻き、地方の幹部に対する不信はよく聞いています。しかし、それを口にだせば自分の運命がそこで終わると理解していますから、表面上からはうかがい知ることはできないです。

 

Q-⑯ 近い将来、北朝鮮の人々の革命が有り得ると考えますか?もし無いとすれば、他の何を

必要としますか?もし有るとすれば、革命は何故まだ起こらなかったのですか?

A:起こらないと思います。人々が集まって政府を批判したりすることが一切できないです。そんなことが起きないです。北朝鮮では皆が皆を一人一人監視しているシステムになっているからです。

これまで咸鏡北道の第16軍団の反乱事件でも翌日には、首謀者、参加者全員が逮捕、処刑されました。この事件の他類似の事件もありましたが、失敗したと聞きました。

 

Q-⑰ あなたの意見では、国を一つにまとめているものは何ですか?それは恐怖と暴力ですか?指導者への人々の忠誠心ですか?それは政府の宣伝効果によるものですか?

A:国を一つにまとめているのは、忠誠心だとも言えますが、それよりは、幼児の子ども時代から忠誠心の洗脳教育を受けて育つので、政府の宣伝効果によると言っても過言ではありません。

 

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