銃殺場所290カ所、集団埋葬の地域を公表
VOA(Voice of America)のハン・サンミ記者が、北朝鮮で人道犯罪の犠牲にされた被害者の殺害場所と、彼らが集団埋葬されていると推定される地域を聞き取り調査した韓国の人権団体「転換期の定義ワーキンググループ(www.tjwg.org)」による調査結果を報じました。
※この調査結果は人道犯罪を追及する「国連北朝鮮人権報告書」(“Report of detailed findings of the commission of inquiry on human rights in the Democratic People’s Republic of Korea” Human Rights
Council)をさらに深化させるもので衝撃的なものです。(編集部:上記サイトで韓国語、英語の調査結果レポートを読むことができます。)
加害者に人権蹂躙の責任を問うための調査
「転換期の定義ワーキンググループ」は2017年7月19日、北朝鮮の人権犯罪現場の位置をデジタルに地図で表すシステム(=グーグルアース)で示し、「北朝鮮内の人道犯罪ロケーションベース(=現場所在地)調査結果」を発表しました。
その調査結果によると、過去2年間の人権蹂躙の類型で最も多かったのは銃殺で、調査に参加した脱北者375人は衛星地図を利用して北朝鮮全域の銃殺場290カ所を指摘しました。各道別に推定される埋葬地と遺体処理の場所は咸鏡北道が221ヶ所、両江道53ヶ所、咸鏡南道28ヶ所、平安南道25ヶ所であり、平壌にも19ヶ所もありました。
転換期定義ワーキンググループの李ヨンファン代表は、人権蹂躙の場所をチェックしてその痕跡を調査し、北朝鮮内の加害者に人権蹂躙の責任を問わなければならないと強調した。
李代表は「引っ張って行って公開処刑した場所、その遺体を捨てた場所。そのような場所には跡が残るのでその痕跡を調査するのです。なぜ調査するかと言えば、時代が変わったらその証拠を確保するためです。誰が過去にこうした悪事をしたか、手に取れる証拠、科学的に確認できる証拠が残っている現場を確認しなければなりません」と話をした。
集団埋葬推定地と死体焼却場など死体処理の場所47ヶ所が分かり、この場所は主に管理所や教化所など収監施設の近くか、民家から遠く離れた場所でした。現在までに分かった人権蹂躙被害者の埋葬地と殺害場所の場所は、咸鏡北道が大部分を占めています。これは今回の調査に参加した脱北者の約60%が咸鏡北道出身者である点が反映されたものと思われます。
報告書には、その他にも人権侵害の実態に関する文書記録や有用な証拠を確保できる、北朝鮮内の情報機関と地域の警察機関、軍部隊、行政機関などの位置も示されました。
李代表は「これらの位置を事前に把握すれば、今後の北朝鮮の人権犯罪加害者の捜査と裁判に必要な証拠を迅速に確保できるからです。」「北朝鮮住民(に行われた人権蹂躙の実態)を全て記録します。なぜかと言えば、統制のためにいかに無念に死んだ人がいるかを多くの住民が知っている。過去に過ちを犯した人、過度に厳しく住民を苦しめて殺した人々は、いつかこの文書によって締め付けられる日が来ることでしょう。」と説明した。
北朝鮮当局者に警告し、覚醒させるメッセージ
今回の北朝鮮人権蹂躙現況調査の結果から、脱北者の回答者の45%は保衛部や安全部で調査を受けた経験があると答え、33%は飢えや栄養失調で家族が死亡した経験が、29%は強制労働の経験、そして26%は保衛部での拷問の経験があると伝えた。
調査に参加した収容所等の収監施設出身の脱北者は、収容所で秘密処刑された受刑者名簿を偶然に目撃し、一年で100人を超える人が非公開処刑されたと証言をした。また、回答者自身が収監された期間中で秘密または非公開処刑が最も多かった年は1999年であり、処刑場で銃弾の薬莢を拾うなど、現場の整理作業は受刑者の任務だったと明らかにした。
北朝鮮に転機が来たとき、遺骨発掘と経済基盤施設建設のどちらが重要かとの質問に、回答者の80%は被害者遺骨発掘が優先されるべきだと答え、開発より人権を重視する傾向を示した。
李代表は、「この報告書を使用して、今も人権蹂躙を行っている北側当局者に覚醒心、つまり警告のメッセージを発することになる」「北朝鮮で今悪事を犯している人々を知らねばなりません。自分がしている一挙手一投足、行動が皆一つ一つ記録されていること、世界が知らないようでも、悪事は全て自分に戻ってくるというメッセージを北朝鮮に送り、今からでも止めるように…。
責任ある人は北朝鮮で高い地位にある人であり、こうした人々に警告のメッセージを送るものです」と強調した。