11月7日韓国統一部は、日本海側の軍事境界線(北方限界線)を越えた2人の北朝鮮漁民を休戦協定村のある板門店を通じて追放したと2日に報道発表を行った。報道発表は、2人の身柄が板門店を通じて北に追放手続きを完全に終了した後に行われた。
強制送還された22歳と23歳の青年は17メートルの木造イカ釣り漁船で16人の同僚を殺害したと殺人の容疑をかけられている。私たちはたびたび日本海沿岸に漂着する北朝鮮の木造船の現地調査しているが、この形の船は甲板の下を通って船首から船尾までの通路はない。2人の新米漁師が他の同僚16人にも気づかれずに殺害するのは不可能だ。
事件の真相はまだ明らかになっていないが、漁民は金策港で共犯者が捕まったことを知り逃走。2人が拿捕直前2泊3日に渡って韓国の東海岸に向かい、韓国海軍による2度の警告射撃を受けながら南下を続けたとみられる。
統一部の長官は 韓国政府の調査の過程で2人は、「北への帰還」の意思表示をしたかのように説明している。しかし、統一部の当局者は、朝鮮日報の記者の取材にたいして「二人は拿捕された際に亡命の意思を表明しており、『死んでも祖国(北朝鮮)に戻りたい』という供述は、事件後母港のある金策港への帰還の途中での発言だという。この当局者は、「政府の合同尋問調査の際新たに『祖国へ戻りたい』という発言はしなかった」と語っている。
調査の過程でも自筆の供述書に「亡命したい」と書き、亡命の意思を明確にしていたことから、韓国政府は北の漁民の意思を十分に知っていても強制送還に踏み切ったのである。
韓国政府の措置は、亡命の意思表明を知りながら、北に送り返したのは人権蹂躙であり、国連の拷問等禁止条約に違反している。それだけでなく北朝鮮住民が、亡命の意思を表明しているのを国民に隠し、北朝鮮脱北者を死刑を含む厳罰に処せられるのが明らかであるのに見て見ぬふりをしている確信犯の反人道主義措置である。韓国の憲法第3条によれば、彼らも大韓民国公民である。大韓民国の主権の範囲に入った漁民を北に強制送還した行為は明らかに憲法違反行為であり、自国民保護の国家の主権を放棄している。
強制送還された2人が、残虐な方法で処刑されると思うと言葉を失う。直ちに国連は、北朝鮮に対し北送された漁民の処刑中止、非人道的な扱いの中止を求めてもらいたい。
2019年11月14日
Life Funds for North Korean Refugees
北朝鮮難民救援基金