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【News127】ミャンマーの安全回廊と脱出作戦 孤立する政府軍は駐屯地に立てこもり、空輸補給を受ける 国外脱出が続くCDM参加者たち  加藤 博

 2022年3月、在日ミャンマー少数民族のリーダーから相談を受けた。ヤンゴンで警察官をしていた中尉の一家4人が、軍事評議会に反対しCDM(市民的不服従運動)の民主化運動を支援し、デモに参加したために、シャン州の少数民族軍との戦闘地域に人事異動に名を借りた派遣が決まった。他のCDM参加者も刑務所に行く恐怖の統制が社会全体にまん延していた。

任地に行けば必ず戦闘になり、生きて家族のもとに帰れる保証はない。少数民族軍は住民の強い支持があり、政府軍は軍の駐屯地に立てこもって防御態勢をとるが、孤立している。周囲はジャングルで陸地戦では圧倒的に反政府軍が有利だ。政府軍は空輸で武器弾薬食糧まで駐屯地に落下傘で投下補給を続ける。

 「幼い子を残しては死ねない、何とか一家を国外に安全に脱出させたい、助けて欲しい」ということなのだ。

この家族には日本に親族の定住者でいるので、最終目的地を日本に定めて安全に誘導する計画を練った。

一家4人が出国をするのには工夫が必要だ。特に戒厳令下では合法的な出国でも、特に厳しく調査がある。出入国管理で国外逃亡の疑いをかけられたら、安全に脱出どころか刑務所行きだからだ。疑われない理由を準備しておかなければならない。

隣国タイの親族訪問と病気の治療という名目を作り、夫と妻が一人ずつ子どもを連れて、ヤンゴンとマンダレーの空港から別々に出国させた。

難関はクリアできた。

 一家はタイ国の待ち合わせ場所を決めていた。賃貸マンションを確保するのは後方を担当する救援チーム。コロナ感染症のワクチン接種、航空券の手配、ビザ発給申請のもろもろの仕事は現地タイ国のNGOメンバーが待機する救援仕組みを作った。

 一家全員が健康で日本に入国許可が下りたのはタイ入国から30日後のことだった。

別の家族は、少数民族軍から派遣された案内人が安全回廊を使ってミャンマータイ国境に向かって出発した。

 

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