【NEWS 128】第1号議案 2023-2024年 活動報告(案)

 

 

 

1 はじめに

 世界の安全保障政策を巡る争いは、ロシアのウクライナへの軍事侵略に見られるように、イスラエルのパレスチナ、中東世界への武力干渉、行使、指導者の暗殺へとエスカレートを続け、現状変更に固執する世界が拡大している。深刻な生命の危機、人権人道の棄損が報じられており、先が見えない。国際司法裁判所や国際刑事裁判所の判決は「紙切れ」と宣告して、これまで70年以上にわたって維持されてきた平和と安全の枠組みが崩壊しかかっている。

 東シナ海、南シナ海においては、中国の武力による現状変更の試みが著しい。尖閣諸島やフィリピンの経済水域における中国海警局の武力による執拗な侵犯行為と挑発行為は新たな紛争の発火点の一歩手前の観さえある。

 北朝鮮製のミサイルの残骸がウクライナ領内で発見されている動かぬ証拠がある。北朝鮮とロシアの「友好条約」には軍事協力が含まれ、ロシア北朝鮮の軍事的結びつき、経済支援の互恵的な関係の強化を読み取れる。これは東アジアの平和と安全保障の危機だと感じさせる。

 中国の「一帯一路」政策は関係国を膨大な借款漬にして相手国の指導者を意のままに従わせる現実を突きつけている。偉大な漢民族の復興の掛け声により、少数民族や社会的弱者を圧迫し、異論を許さない統制社会の強化を進めている。

 コンピューター技術、AI技術と顔認証技術で人民統制は成功している。北朝鮮からの脱北者は中朝国境を越えた段階から監視網に補足され、中国国内から第三国に出国の間際まで追跡を受ける。最終的に一網打尽にする。安全な第三国への脱出を壊滅させる方法が成功しているようだ。

 

Ⅱ 主な活動の取り組み

2023年9月-2024年8月

 

<23年9月2日>

李泰炅・北送在日僑胞協会会長『囚われの楽園』(ハート出版)出版記念会を開催

<10月>

 21日 都庁前広場で特定失踪者集会「お帰りというために」集会参加

 25日 元脱北者、教育里子の呉忠誠氏が定住地のロンドンから来日、「囲む会」で脱北後報告会を東京湯島の会議室で開催

 27日 早稲田大学新宿戸山キャンパスで金敬黙教授のセミナーに招かれ、呉忠誠、難民の経験について懇談会

 30日 北朝鮮帰国事業裁判控訴審判決

<11月>

 14日 アジア児童福祉会総会出席

<12月>

 15日 OHCHRソウル事務所主催東京セミナー開催に参加

 19日 元北朝鮮脱北者児童との懇談会有楽町交通会館(金ジョンスン他3名)

 20日 映画「Beyond Utopia 脱北」の日本記者クラブ主催試写会に解説者として参加    

    

<2024年01月>

 21日 NPO PEACEのミャンマー情勢報告会に参加

<2月>

 07日 北朝鮮人権映画祭実行委員会

 14日 US駐日大使館会議室にて議会関係者と北情勢の意見交換会

 23日 宮塚コリア研究会「北朝鮮の対南工作と韓国軍の対応」、武蔵野プレイに参加

<3月>

01日 中国吉林省経済開発区担当者来日

<4月>

 18日 インターン面接相談

 19日 ミャンマーNUG東京事務所からミ

ャンマー情勢の説明を受ける

<5月>

 18日 脱北者関東地区交流会

 25日 基金NEWS No127の発送会

<6月>

 13日 北朝鮮人権映画祭実行委員会

<7月>

 06日 ボランティア希望の女性問合せ

 18日 北朝鮮人権映画祭実行委員会

 19日 US Embassy東京で米国の民主共和両党のメンバーが北朝鮮外貨稼ぎの現況を調査に協力

 23日 NGO Helping Hands Koreaとホテルニューオータニで脱北者救援の連携と協力のための会議

 

Ⅲ 脱北者の救援、安全回廊

 東アジアの情勢の特徴は、中国北朝鮮関係が後退し、北朝鮮とロシアが新たな「善隣友好条約」を基礎に、軍事協力を強化した点にある。北朝鮮がロシアに弾薬武器の供給を始めた点にある。北朝鮮製のミサイル残骸が、ウクライナ、ロシア戦争の戦場で発見されるに先立って、数百輌の貨車が北朝鮮からシベリア経由でロシアに移動する様子が衛星画像で確認されている。その見返りは小麦を中心とする食料と武器弾薬の取引による外貨稼ぎにあると見られる。

 これまでのシベリアの森林伐採事業、建築、道路事業での労働者派遣とともにロシア、ウクライナ戦争の後方支援に北朝鮮人を労者との資格で派遣する 外貨獲得事業として考慮されることも予想される。

 これはすでにインド、ネパールから外国人労働者として同国の人員をリクルートし、ウクライナ侵略の最前線で戦闘に従事させている点からも容易に想像できる。

 それよりもロシアの核・ミサイル分野の技術移転 を最大のメリットとしている。

 当基金の最重要課題である脱北者の救援と

第三国への安全な移動は過去1年間に限れば、皆無に近い。中国政府のAI技術と顔認証技術を、国民の徹底した統制に応用する中国安全部、公安部の取り締まりが効果を上げている。脱北者が中国国内を移動する方法は皆無に近い。それは韓国の統一部の統計を見ても明らかだ。

 

救援活動のかすかな光明

 陸路による脱北が中国安全部、公安部のコンピューター技術、AI技術、顔認証技術によって陸路の国境まで追跡が可能なようだ。中朝国境を通過した時点で非合法的な越境は捕捉されているとの見方が脱北支援NGOの間で定着しつつある。

 現在第三国の定住に成功している例は、ここ数年のAI技術、顔認証技術の普及以前に中国に入国し7、8年以上経過している例だと思われる。

 雲南省の昆明から、ベトナム、ラオスに向かう脱北ルートは、コンピューター技術でほぼ完全に網羅されている。いまだ未完成なのはミャンマールートだが、一帯一路構想で開発が進めばこのルートも地域安全保障政策によって完璧なものとなり、従来のアナログ式の脱北例は消滅の道を辿るのを恐れる。

 残るのは海路による脱出ルートだが、北朝鮮の日本海沿岸から10~20メートルの木造船に中国製の農業機械の重油燃料エンジンモーターを装着した小舟で韓国を目指す例が昨年だけでも数回確認されている。

 海路の場合、天候、操船技術、燃料の入手など解決しなければならない問題が多くいまだ脱北の手段の主流にはなっていない。ヨーロッパに流入する中東の難民を相手にする難民ビジネスは既に100万人以上を海路により定住の道を開拓している。それが今ではヨーロッパ諸国の深刻な内政問題に発展している。

 ヨーロッパでの難民問題が、東アジアでも大きな社会問題、政治問題に発展しないとは断言できない。

 私たちは、人権被害から生命を失う危機にある人を一人でも多く助けることを活動の目標にしている。そのためには、海路による脱北ルートが「安全、確実な救援ライン」である評価を得なければならない。そのための研究、検討を開始した。

 

Ⅳ 食糧・医療支援

 脱北者、難民支援団体、安全回廊を維持するために働く団体、個人に食糧、教育の枠組みで支援した。昨年は日本円で50万円の予算を消化した。「社会教育プログラム、ミャンマーの安全回廊を維持する為に」補修、維持を目的とした映像記録の作成を行い、18分の短編ビデオが完成している。

 40分の中編は制作費の不足から未完成であるが、新年度中には完成、試写会をしたい。

 脱北者の安全回廊を維持、強化する観点からミャンマーカレン州のNGOのCommunity School Programへの食糧支援を総額日本円で30万円相当を提供した。同団体から遠隔地の学校関係者が食糧の配分をする動画が送られてきている。

 公開できる記録であるので試写会をする個人団体に貸し出すことができる。

 

Ⅴ 人権映画フォーラムで啓発キャンペーン

 当初これまで制作された北朝鮮の人権問題の啓発短編ドキュメンタリーや長編作品の上映とトークショーをセットにしたイベントを各地で行うとの方針を決めたが、結果的には各地開催はできず、東京と大阪で計4か所で実現したのみであった。

 実行するにあたって企画、計画、イベントの集客の力が足りなかった。

 上映作品としては、以下の作品がある。

 

北朝鮮関係

①「国境を渡る北朝鮮の子どもたち」(ドキ

ュメンタリー 18分)

②「公開処刑」ドキュメンタリー8分

③「クロッシング」ドラマ90分

 

ミャンマー関係  

①ミャンマー「安全回廊は今・・・」ドキュメンタリー短編18分、長編45分制作中(資金難で中断中)

 

 第5回北朝鮮人権映画祭を横浜市の韓国会館で開催、韓国NGO「ムルマンチョ」が参加、朝鮮戦争当時の国軍捕虜と離散家族をテーマに積極的に活動する韓国の有力なNGOで映画祭に初参加。

 

Ⅵ 国際機関との連携

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)

国連人権理事会(UNHRC)

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)

との連携を維持している。

 

Ⅶ NGOとの連携活動

1、北朝鮮の人権侵害問題、ミャンマーの軍事評議会の反人権、軍事的弾圧、抑圧に反対し被害者を救援するNGO、NPOとの連携を強化した。

2、反社会的カルト教団に注意する反社会的カルト教団である旧「統一教会」による合同結婚式や異常な献金を達成するために土地、家屋、不動産を売買させ献金に誘導する例が多く報告されている。この教団を支援してきた安倍政権に対し、恨みを抱く信者家族が報復として演説中の安倍氏を銃撃し、死にいたらしめた。白昼のテロルとして世間の耳目を集めた。

 旧統一教会は、名称を変更し「世界平和統一家庭連合」と称して活動を続けている。その他の人権人道や宗教に関係する諸団体に巧妙に触手を伸ばし、影響力の拡大に余念がない。

 これまでに得た教訓は、本質を見極めずに普遍的な友好、統一の雰囲気を漂わせて正義を主張する活動に注意することである。

3、主な海外団体・個人との交流(順不同)

①第三の道

②Helping Hands Korea

③北朝鮮人権データベースセンター

④NO Chain

⑤北送在日僑胞協会

⑥北韓人権市民連合

⑦NK Wach

⑧Amnesty International Korea

⑨その他USA団体

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