謹賀新年 北朝鮮難民救援基金理事長 加藤 博

2019年の年頭にあたり皆様のご健康とご発展を祈念いたします。

本年が、北朝鮮の核開発、ミサイル開発が停止され非核化に進み、

朝鮮戦争の停戦協定が平和協定に変わり、関係諸国の協調によって朝鮮半島が非核平和地帯になることを願っています。

そして人権と民主主義と法治主義が尊重される北朝鮮に向かうことを願います。

 

 

 昨年の年頭は、韓国の平昌冬季オリンピックに北朝鮮が参加することになり、美女応援団や文化芸術団が送り込まれ、南北の平和、友好の雰囲気が突如盛り上げを見せました。本当に驚くばかりの光景でした。米朝の一触即発の軍事衝突かと思われるほどの悪罵、罵倒の応酬でした。

悪夢が去り、南北首脳会談への道が開かれ、歴史的な米朝シンガポール会談へと進みました。この落差にメディアは、舞い上がり、根拠なく楽天的な「朝鮮半島の非核化」「平和協定」への期待感や雰囲気がテレビや紙面を通じて発信し続けられました。

テレビの情報番組や日本の主要紙の記者たちまでが、豊渓里の核実験場破壊を演出した北朝鮮に対して非核化に向けた柔軟な対応と反応しました。国際原子力機関(IAEA)の専門家の立会や検証もないにもかかわらず、非核化が進むことに肯定的なコメントを出すのは、思考停止としか思えません。

 

 今やシンガポール会談の熱狂はしぼみ、今やアメリカ政府の対北朝鮮政策の専門家たちは次々と政府を去り、今後の展開は迷走することが予想され、予断を許さない状況にあります。 

そのうえ、国際社会は北朝鮮が「深刻で、広範囲で組織的な人権侵害がおこなわれている」と規定し、「人道に対する罪」であると断じています。人権問題の改善なく、非核化や経済援助を論じることは国民の支持を得ることはできないでしょう。朝鮮半島の非核化と同時に日本と北朝鮮の間の未解決の人権、人道上の諸問題の解決を決して積み残してはなりません。

 

 1945年以降に朝鮮半島で起きた全ての日本人に関する諸問題の解決、つまり日朝合意である「ストックホルム合意」の完全履行に向けての努力が必要です。

拉致被害者の帰国、半島に残らざるを得なかった日本人技術者、医師、看護師などの家族や関係者、北朝鮮への帰還運動で北に渡った日本人配偶者とその家族、日本への引き揚げ途中で北朝鮮で死亡した日本人の遺骨問題、墓参等は解決に向けて前進させなければなりません。これらの諸問題の解決に前進が見られれば、相互の信頼関係も醸成され、朝鮮半島の非核化、安全保障上の問題、平和保証、経済発展などにも資するものと思われます。信頼関係の醸成は一朝一夕にできるものではないのですが、今年がその一歩となることを期待し、実現に向けて努力したいものです。そして一人でも多くの人を人権侵害から救い出すために尽力します。 2019年正月

 

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